都内私立高校の生物部OB会の方々が2017年3月25日から一週間の実習にいらっしゃいました。総勢30名のうち、20名は中学生高校生です。OB会からは「自然観察のイロハを伝えてほしい」とのご要望をいただいて、一週間の実習内容を組みました。自分たちから見ても、濃い内容だと思います。
3月26日、まずは軽く亜熱帯の山を、いろいろな探し物をしながらトレッキング。手ぶらで何かを見つけるのは、実は簡単ではありません。ワークシートを使ってグループワークで行いました。
「西表らしさ=関東の植生等との違い」を見つけために、実は自分たちの地元のことをどれだけ知っているかが問われます。身の回りの自然がわかって初めて、他の地域(今回は西表)の特色や魅力に気づくことができるのです。西表島の生きものには、内地(本州)の亜種も多いですが、同じ種もまた数多くあり、このような気づき・発見にとって、とてもよいフィールドだと考えています。 残念ながら曇天で肌寒い日ですが、サクラに春を感じられたでしょうか。
幸運にも、イリオモテヤマネコの食跡に出会えました!
山の上でお弁当を食べてから下山。
午後は集落内で“探し物”です。
くまのみ自然学校のある干立集落は島の歴史の中では一番古いとされる一つで、昔ながらの暮らしや人の営みが色濃く残っています。
街路樹(防風林)などの緑に覆われた集落の景観から、人と自然との共生の証を見つけていきます。
とくに、都市で暮らす中高生には、簡単には見つけられなかったことでしょう。記入されたワークシートを見ると、その苦悩が感じられました。
「人と自然との共生」とは、どういうことをいうのでしょう?
明確な基準などは存在しません。人の価値観や感覚で判断されることも多いでしょう。都市と田舎では異なるものでもあるでしょう。
それでも、“確かなもの”が、ここでは見ることができます。