東海大学観光学部が行う「エコツーリズム実習 in 西表島」の中で、学生17名に対して村人体験プログラムを実施しました。干立の暮らしを体験し、村人とふれあうというご要望に合わせ、“干立だからこそ”のプログラムを組み立てました。
西表滞在中の2015年9月5日〜11日は、干立集落の様子を肌で感じられる宿泊施設「イルンティ・フタデムラ」に宿泊です。ここを拠点に、干立の暮らしを体感できる6つのプログラムを提供しました。これらのプログラムは、干立の山・海・川・集落に加えて“村人”がセットになって完成するもの。わたしたちの他に、“業”と“知恵”を持った村人にも登場していただきました。
9月6日と10日のそれぞれ半日、各日3種類のプログラムから選択する形とし、1人が2種類のプログラムを体験できるようにしました。
プログラム1:野の恵みをいただこう
プログラム2:近代産業遺構を訪ねる
プログラム3:サンゴ礁を駆ける船
プログラム4:海の恵みをいただこう
プログラム5:暮らしの中の唄
プログラム6:島の手業・藁ぼうき
【9月6日 午後】
プログラム1 野の恵みをいただこう
集落を散策しながら島で昔から利用されている野草と島野菜を採集して、料理を作るプログラムです。干立で生まれ育った新城也子おばあといっしょに、晩ご飯のおかずをつくりました。
※インタープリター:伊谷美穂(くまのみ自然学校)
かごを片手に集落を散策しながら、食材を探して歩きます。道を歩けば食材が見つかる。おばあはアレもコレも採りたくなってしまいますが、時間の関係上、採るのを諦める野草も。
また、集落を歩くと、内地の若者にとっては珍しいものがいろいろあって、話がつきません。
外で何かを採って食べる経験をしたことがない人もいて、そのへんに生えている草を食材として採ることは新鮮だったようです。
1時間余りでこれだけの食材を集められました。
これを料理して、18名分の夕食のおかずをつくります。
料理経験はまだそれほどない学生にとって、見たことのない食材を料理するのは一大事。でも、おばあの手ほどきで野草をこしらえられました。
無事に完成。
パパイヤチャンプルー、冬瓜の煮物、ニガナの白和え、ガンジュー草の和え物、フチビの炒め物と、上等な島料理の夕食ができました。
プログラム2 近代産業遺構を訪ねる
イリオモテヤマネコが発見されるまで西表島は無名の島だったかというと、そうではありません。日本の歴史に関わる舞台となっていました。それが遺るウタラ炭鉱を訪れます。
※インタープリター:伊谷 玄(くまのみ自然学校)
日本の歴史と関係するもの、そのヒントが干立の前の浜で見られます。
そのヒントを確かめた後、近代産業遺構のウタラ炭鉱へと向かいます。
ウタラ炭鉱への道は、軽い山のトレッキング。亜熱帯の森を垣間見ることもできます。
廃鉱になって50年余り。植物がここを覆い、遺構が緑に埋もれていこうとしています。けれど、ここが日本の産業を支えた重要な場所のひとつであったことは、まぎれもない事実です。
プログラム3 サンゴ礁を駆ける船
沖縄に古来より伝わる舟がサバニです。その特異な形状は、沖縄の海を走破することに特化した舟と言われています。サバニに乗って海に繰り出し、先人の知恵と業を体で感じます。
※インタープリター:山下義雄(アイランドサービス空海)
今回乗るサバニは帆のあるもので「フーカキサバニ」と呼ばれます。
前の浜を出発。
まずはヤコを使い、力を入れて漕いで舟を進めます。みんなの息が合わないと、なかなか前に進みません。
サバニが遠くに小さく見える程度になりました。
帆を使い、風を利用すると驚くほどスムーズに進みます。
しばし休憩。
海の中がよく見え、風や波での揺れが心地よく感じられます。海を近くに感じられる瞬間です。
(後半につづく)